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環境教育事務所Leaf

〜教育プログラムの企画・運営・コーディネート〜

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「イチからつくる自分のしごと」
西村仁志さんインタビュー その1

7月20日(日)〜21日(祝)で「イチからつくる自分のしごと」を開催します。「イチからつくる自分のしごと」は、環境やまちづくりといった分野で個人商店=フリーランスをしてきた西村仁志さん(環境共育事務所カラーズ:代表)をゲストに合宿形式@宮島でワークショップを行います。「イチからつくる自分のしごと」は2009年に実施した「ゼロからつくる自分のしごと」の続編として企画しました。参加者の皆さんと一緒に、「仕事(しごと)」・「生業(ナリワイ)」・「働き方」といったキーワードについて考えていきます。

「イチからつくる自分のしごと」の開催にあたって、西村さんと最初に接点を持った頃のことを思い出しながらインタービューを行いました。最初の接点は2000年以前のことになります。当時は、西村さんが「役に立たないフリーランスの話」をメールマガジンに連載したり、山梨県の公益財団法人KEEP協会で清里エコロジーキャンプ「環境教育個人商店をつくろう~SOHOな暮らし方」(http://www.keep.or.jp/taiken/otona/ecology.php)に関わっている頃でした。「役に立たないフリーランスの話」(http://www.colorsjapan.com/yakuni/)の話も出てきますのでご一読下さい。

■「役に立たないフリーランスの話」から清里エコロジーキャンプ「環境教育個人商店をつくろう~SOHOな暮らし方」への流れ

河野:「役に立たないフリーランスの話」とKEEP協会で開催された、清里エコロジーキャンプ「環境教育個人商店をつくろう~SOHOな暮らし方」ってどっちが先だったんですか?

西村:うーん。どっちなんかな。「役に立たないフリーランスの話」はわりと細かくメールマガジンで書いていました。20くらいネタが集まって、WEBにあげたり、冊子にしたりしました。多分KEEPの事業より後のような気がします。KEEPの事業の時にあったかもしれないけど、全部はありませんでした。

河野:KEEPの事業は西村さんが実施しようと言ったんですか?それともKEEPから話が来たんですか?

西村:KEEPから来ましたね。エコロジーキャンプの50回記念、もしくはエコロジーキャンプの15年だったかな。エコロジーキャンプフォーラムがあったんですよね。それまでのゲスト大集合という感じで、結構大々的に2泊3日やったんですね。それは、僕が次に出演が決まっているという状態でやったと思います。そいいうタイミングでしたね。ちょうど、SOHOが話題になっていた頃でした。

河野:西村さんはこの話があるまでは、SOHOをテーマにしたワークショップを行おうと思っていたのですか?

西村:どうだったかな。やっぱりKEEPでエコロジーキャンプにしたいという話になって、はじめて意識したかもしれません。それまでは、そういうことを何かネタにしてワークショップをしようということはしていませんでした。それは千刈ミーティング(かつて関西学院千刈キャンプで開催されていた環境教育ネットワークミーティング)でもやっていません。ただ、95年阪神淡路大震災の直前に、第2回千刈ミーティングがあって、その時に津村喬さんのワークショップに参加したことは関係しますね。

■「自分を再編集する」ワークとの出会い

西村:津村さんのワークショップのテーマは「自分を再編集する」というものでした。編集というのは自分の在庫チェックをして、自分に何がくっついているかということを洗い出すこと。今後生きていくにあたって、何を身につけていくか、あるいは何を武器にするか。そういうことを解体し再生するというワークをやりました。このワークは個人商店のワークショップをやるにあたって、すごく似ているところがありました。自分がどういう関係性の中に生きていて、今までどういうことを体験して、どういうことを知恵として身につけていて・・・それから、どういうことをベースにして新しい関係を築いていき、どういう風な仕事にしていくか・・・ということを考えることの原点になりました。

津村さんは当時、関西気功協会代表という肩書でした。彼自身はもともと編集業をずっとやってきた人でした。編集するという事と気功をミックスしてやるワークで、身体運動とリンクするものでした。人間らしく生きていくことって、人間の動きをするように育てられること。例えば、幼い時に荒々しく物を動かしたりしても、丁寧に扱うことを学んだら丁寧に扱うようになっていくんですけど、それは「人間として」ということを意識していくことですよね。

ところが気功というのは、鶴のポーズとか、虎のポーズとか、熊のポーズとか、あるんですよね。それは、いったん人間であるということを降りて、虎になってみるということ。これって、自分は人間であるということを認識しながら、新しく虎にもなれるし熊にもなれる、そういう動きを身につけるということです。解体と再生、それから自分が身につけてきたものは何なのだろうということと、すごく共通するんですよね。

河野:よく鎧を脱ぐという表現をしますよね。

西村:そうそう。人間という動きに凝り固まっているわけですよ。それを一旦脱いでみて、新たに虎とか鶴とか熊になってみたら、いかに今まで不自由に生きてきたんだなということが分かるわけね。そいういうことと、実は関連をしている。それは今まで僕は体験したことがない、眼から鱗のワークショップでした。その翌日に、阪神淡路大震災でした。

河野:そういう流れだったんですね。

西村:その時、津村さんはポートアイランドに住んでいました。まさに、その直後に彼は神戸難民日誌という本を岩波ブックレットだ出すんですけどね。実は、神戸で難民になる直前まで、千刈ミーティングでワークショップをやっていたという一節を書いています。

■フリーランスや個人商店への関心の高まり

河野:津村さんのワークからKEEPの事業まではちょっと間があったということですね。

西村:間あるよね。震災が1995年、KEEPの事業が2000年。だから5年位あります。

河野:僕もそうだったんですが、フリーランスや個人商店に当時興味があって。KEEPの事業の時もすごい参加者がいたじゃないですか。

西村:37〜8人いたんだよね。

河野:多分、ずっと環境やまちづくりの分野でフリーランスをやりたいと思っている人達が、何年かかけて潜在的にいたんじゃないかと思うんですよね。2000年になって、KEEPの事業があってみんなが参加したんじゃないかなと思ったんですけど。

西村:あの頃、並行して、環境教育や野外教育の分野では、当時の文部省が野外教育企画担当者セミナーを主催しているでしょ。そのテキストに「野外教育個人商店とワーキングネット」という一節を書きました。1999年ね。こういうのに来てた人達が、そういう手があるんだと気づいた訳です。つまり、これまでこの領域で、何か仕事にしようということになったら、自然学校のスタッフかYMCAとかしかなかった。ボーイスカウトでは飯食えないからね。キャンプ協会でも飯は食えない。キャンプディレクター上級を持ってたって、飯の種にはならないよね。じゃあ、「どういうふうに仕事にしていくの?」っていうのは、かなり関心事だった。

■個人商店を立ち上げるためのコツ「看板は早くあげましょう」

河野:今2014年ですけど・・・あれから15年も経っちゃいましたが。15年経って、それこそSOHOという言葉じゃなくなって、当時も使われていたかもしれないですけど、今は「生業(ナリワイ)」という言葉を使っていたりしますよね。阪神淡路の震災の後、3.11もあって、という社会情勢の中、またちょっと変わってきたかな。でも、個人商店とかワーキングネットというものもそんなに「こうすればいい」ということはないですよね。

西村:こうあるべしというものはないない!それこそ役にたたない!

河野:こうすればいいよということは明確に言えなくて。

西村:言えない。それは言えないよね。

河野:一人ひとりのキャリアパスを見た時に「みんな違うよね」ということになって、一般論みたいなことは言えないと思うんですよね。一般論が見えないから、「私はどうしたらいいんだろう?」という人もいると思うんですよね。

西村:もし一般化するんだったら。基本的な知恵というか・・・「看板は早くあげましょう」とかさ。

河野:言ったもん勝ちだから。

西村:言ったもん勝ちだし。それから、「覚悟を決めましょう」とかね。そのためには、税務署に行って開業届を出しましょうとかね。

河野:それ、このテキスト(「野外教育個人商店とワーキングネット」)に書いてありますよ!

西村:開業届出したら覚悟決まるよね。次のステップとしては法人つくりましょうとかいうのはあるにしても、個人で仕事をする上で開業届というのは覚悟決まると思うしね。いくつかそんな基本的なことはあるかなあと思います。

河野:いつもいろんな研修とかでも、結局「その先をやるか・やらないか」ですよという話になりがちだと思うんですよ。そうは言っても、やる人はやるし、やらない人はやらないという状況になっていると思うんですよね。やればいいのにやらない。

西村:できるのにやらない。「いつやるの?今でしょ!!」(笑)

■最初にする仕事

西村:最初に依頼を受けた仕事もそうだし、最初に主催をしてみた事業とかね。やっぱりそれは自分の最初の仕事のスタイルを作るということで、すごく大事なことなんだろうなあと思いますね。

河野:それで思い出したのが、前の会社のボスの口癖「来た仕事は断らない」という原理原則。それは一理あるなと思うんですよね。断ったらそれでおしまい。

西村:関係性が切れるからね。

河野:それは最初仕事を始めた頃には、特に当てはまるのだろうなあ。話が来たことというのは求められていること。

西村:「この人だったら受けてくれるんじゃないかなあ」って思われていること。

河野:求められていることが、金銭的なお金になりやすいことだったりする。SOHOの時代からそうですけど、自分がやりたいっていうことを立ち上げると、それがなかなかお金にならないから、なかなか飛び出さないという人が結構いるんじゃないかなと思うんですよね。

■プロとしての性格きちんと出すことが大切

西村:人が集まって、有意義な時間を一緒に過ごして、その間にはご飯も食べる。あるいは宿泊でお泊りもする、そうなったらいろいろ費用が発生してくるしね。その間が非常に価値のある時間ということになれば、みんなそのことに対してお金を出すので、そこにビジネスチャンスがある・・・ということが基本的にあるんじゃないかな。一昨年くらいから京都でやっているトークイベントなんかも、ある人を囲んで一緒に話を聴いて、その後ちょっと飲み食いしながらしゃべって。飲み食いというところでも喜んで頂ける内容のものをお出しして。そうするといくら位もらえるかなと(笑)。3,000円くらい・・・飲み会に行ってももっと払うからね。

河野:「役にたたないフリーランスの話」の中でも「主催と受託」という話が出てきて、その話にもつながっていると思います。主催事業というのは自分がやりたいからやる。その中でも、3,000円でも4,000円でもお金を払って頂いて、なるべく持ち出しはないくらいにして。

西村:できればちゃんとお金を残したい。

河野:でも、なかなか残らないですけどね(笑)。NPOもそうですけど、営利的にやらないようにしようと思うと、主催事業をやった時にあまりお金が残らないようなやり方になっているということがあると思うんです。たくさん人を雇って、たくさん広報手段をうって、というやり方でないやり方をするから、そうなっていると思います。この事はフリーランスでの仕事にもつながっていると思います。結局、個人商店でやるということじゃないかな。でかい事業体でやらないってことはそういうことかな。

西村:そういうことやなあ。プロとしてちゃんとして見てもらう。切れ味のある仕事をしてね。そのためには、プロの対極としてひとつアマチュアではないということ。もう一つはボランティアではないということ。その辺を鮮明に出すにはどうしたらいいかなというのはあるよね。NPOとかそういう看板で出た時に、プロではないという見られてしまうことがあるよね。いろんな人から、「何か始めたいんです」「NPOを作りたいんです」という相談を受けることがあるんですよね。そうするとこちらから、「何をしたいの?」「どういう拡がりを作りたいの?」「どんな感じで仕事にしたいの?」とか質問する。必ずしもNPOが手段でもないし、方法でもないし、看板でもない。むしろ「非営利ということよりも、営利ということを鮮明にしたほうが、プロということの性格がきちんと出るんじゃないですか?」ということは言ったりする。

■雑用大事主義から生業へ

河野:今の話は、例えばソーシャル・イノベーションで何か事業を起こしたいという時の話だったりしますか?

西村:そうそう。僕もいっぱい看板を作っています。「環境共育事務所カラーズ」これは非営利個人商店。非営利個人商店って変だな。任意団体であり、個人商店であり、非営利団体でもあり・・・「カラーズジャパン株式会社」これは営利丸出しでやろうと。あと、拠点としては「さいりん館室町二条」ね。それから今日オープンの飲食店「ひとつのおさら」これは食堂丸出し(笑)。営利食堂丸出し(笑)であるということですね。

河野:僕もNPOをやるとは思ってなかったですけど、何でしょうねえ。この個人商店をやっているといろいろやってしまうという感じは。

西村:いいと思うんですよね。百姓というのは、百の仕事の集まりだ。それとも似てるし。河野さんの前の職場のボス(ホールアース自然学校元代表:広瀬敏通氏)は雑用主義みたいなことを言っていましたね。

河野:雑用大事主義です。

西村:雑用大事主義ね。雑用の塊みたいなことをやって、それを全部集めるとプロとしての、あるいは世の中の役に立つというかな、そういう人材になっているということかなと思います。

河野:そういうことが生業となっていくんだろうと。

西村:そうそうそう。

河野:戦後の時代背景の中サラリーマンが主流になると、どんどん仕事が細分化されて、細切れになって、何か一つのボタンを押す係みたいになってしまった。しかし、今後人口が減っていく中で、その仕事はもう成立しないよ。コンピューターがどんどん偉くなっていく中で、その仕事はもう成立しないよ。ということが出てくる。人間様が一番えらいのはいろんな事ができること。そういう意味ではいろんなことをやるというのが時代の流れなのかもしれませんね。

西村:そうそうそう。今大学の先生してますけど、河野さんと一緒にやっている授業「環境プロジェクト演習」では、授業の中でワークショップとかファシリテーションだとか、学生と一緒に何かをやる、何かをやらせてる(笑)。こんなの、実社会で若い人たちと一緒に何かをやってきたということを求められるので、大学の研究者や大学の教育のみ受けてきた人にはできない授業ですね。それから、圃場の実習なんて!他に頼める人おらんのかいな(笑)。大学もそうなってきていますよ。雑用の塊みたいなことばっかりやっています。

■フリーランスの仕事におけるパートナー不足・・・実はチャンス?

河野:西村さんが書いている文章の中で、仕事をしていく上でのパートナーが不足しているという話があるんですけど、その状況って実はあまり変わってない気がしています。

西村:変わってないと思いますね。頼まれた仕事をシェアして、一緒にチーム組める人ってそんなにはいない。それから、しょっちゅうミーティングができるような人がそんなにいない。

河野:かつ日程が空いている人(笑)。

西村:いない!そんなに条件揃う人はいない。ほんとに。

河野:例えば「コミュニケーションがうまいデザイナーさんって広島に何人くらいいるかな?」という話をしているとします。その人が空いている日を考えていくと、すごい選択肢が狭まるんですよ。だから、あんまり分野に限った話ではないのかもしれませんね。単純にデザインをお願いするルーチンワークだったら扱える人はいっぱいいるのかもしれないですけど、もうすこしスキルの必要な、クライアントときちんとコミュニケーションとれて、それを形にできる人を探そうとするとなかなかいない。

西村:そうね。だから、その辺をクリアできると、きっとすぐなれちゃうのかな。つまり、そういう存在になりたいと思った人は、なれるチャンスはたくさんあるんだろうと思いますね。特に、やり始めの時は時間がたくさん空いてる。「何かあったら声かけて下さいね!」って言っておけば、暇があるからお手伝いができる。

河野:それが王道なら、そうすればいいじゃないかと(笑)。その道の第一人者や忙しくしている人は必ずどこの分野にもいるはずだから。

西村:もういっぱいいっぱいですよ。

河野:そういう人のところに限って仕事集まりますからね。そこにいってカバン持ちでもすれば。仕事になるかもしれない・・・「イチからつくる自分のしごと」の結論が、このインタビューの中で出てきてまずいかもしれない!なんだそうすればいいんだ。でも、みんなそれほど踏ん切りがつなない。不思議ですね。

西村:そうですね。(つづく)

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